(ii)多孔質材による集熱

50度を越す牛ふんの発酵熱の経験(次図参照)から、多孔質材の熱吸収について、種々の材料について比較しながら 集熱実験を 行った。

    牛糞の発熱実験

すなわち、屋上に、内のり38cm x 26.5cm x 21.5cmの段ボール箱を2重にして、比較的断熱した箱に、次の ようなものを充填し、上部を透明なプラスチックで覆い、東西に一列に並べ日照条件を一定にし、その表面 近く(深さ4cm)の温度や内部温度(深さ12cm)を測定した。充填したものは、グラスウール、その繊維表面  に黒い塗料を散布したもの、羊毛、ステンレスの線状になった たわし、それに黒い塗料を散布したもの、  馬ふん、牛ふん、藁のきりくず、それに黒い塗料を散布したもの、等である。
2、3の材料について、このときの各部の温度変化の様子を、比較的快晴の日と曇天の日について示す。  その日の法線面直達日射量も添えて示す。

それぞれ興味のある特性を示すが、次のような点は、今後、種々議論すべきであろう。
 i)動物のの発酵熱が高温を保ちながら、時間遅れを与えている。ただし、この現象は1週間も経つと 弱まって来る。
 ii)ステンレスたわしの表面近くの温度が、それを黒く塗った時より大きい。
 iii)羊毛は日射吸収率が一定量あり、深さに対して温度減衰がゆっくりしている。

 次に、ステンレスにつ いては深さ方向への温度分布を少し詳細に測ったので次図に示す。 このステンレスたわしの結果は、ステンレス繊維の素材としての高い日射吸収率と共に、繊維同士間 での相互反射、その周りの空気層の断熱効果によって、大きな日射吸収が得られたものと考えられる。

ステンレスたわし内部の温度変化

これらの結果から、表面をステンレスで覆い、下部に羊毛を充填した組合せで、その間に黒塗のパイプに 水を充填させた集熱機構が考えられる。プラスチックパイプを用いた時の水温の変化及び温度分布を次に 示す。図中には日射量も示した。

パイプに水を充填した時の温度変化


次へ


ホ−ムヘ