(5) 建築設計 計画支援のための
コンピュータープログラムのフローチャート


居 住空間は、音、熱、光などの要因を同時に含んでおり、それらの環境をうまく設計して、住み良い空間を作っていかなければならない。各 要因の3次元の物理的な場は、実用的にほぼ解けており、あらかじめ予測することができる。さらに、それらの不快性尺度をもとにした総合評価を行い、設計目 標を設けてどの様に建築するかの議論があらかじめ可能となった。ここでは、このプロセスを建築環境計画と呼ぶ。

住 宅の設計計画を一つのシステムの設計と考えると、建築環境計画、構造計画、経済的背景等を支援機構とし、それらに必要なデータベース を添わせ、それらを独立した要素として取り込むことにより、設計支援のコンピュータープログラムのフローチャートができる。この様なやり取りあるいはプロ セスは、設計者が意匠表現する過程でも大いに参照され、意匠決定された後、設計者は立体視化されたCGを介して、定性的にまた定量的に、その依頼主と対話 をすることができる。

さて、ここでさらに重要なことは、地球環境に対してその建築物が、そしてその中に住む人 間の生活活動が、いかに地球に負荷を与えず、ま たいかに地球を汚さないかを議論しなければならなくなった。すなわち、いかに建築を通じての人間生活が、地球と共生出来るかを評価する一軸が必要となって いる。図は、そのような背景を基にフローチャートとしたものである。従って、ここでのデータベースは、上の環境3要因の計算や構造計算に必要な物理常数、 材料の価格や工賃のみでなく、地球にどの様に優しいかが評価できる情報を含むものでなければならない。

この実 験住宅の建設過程やその後の測定は、このプログラムを完成させて行く過程としても大切である。そのために、一定期間のモニターと 解析が行われている。空気温度、グローブ温度、熱流、気流、湿度、風向風速、直達日射、全天空日射、照度、騒音レベル、電力、炭酸ガス濃度、BOD、 COD等をデータロガー、PCによるなどして記録、解析し始めている。

いずれプログラムは完成させて、各地の 地理的条件、気象条件などを入れ、そこでの室内環境が推定でき、環境に負荷をかけない住まいの設 計ができるであろう。その時は大いに利用して欲しい。


図 計画・デザインのためのフローチャート



次 へ


ホームへ